車輌加工・工作のススメ
PART−3
真鍮製コンバージョンキットの製作
真鍮製のコンバージョンキットは各社よりたくさん発売されており、製作しているキットメーカーの考え方が
良く出ていると思います。今回は真鍮製コンバージョンキットの組み立て方のポイントや問題点等を色々と考察の上で
当社の組み立て方、考え方を紹介致します。
今回の題材は ジャングルプロダクション製 JR九州クモハ485 です。
まずは完成画像からです。
種車となるのはカトー製クハ481−300 1両です。



キットは側板のみを交換するシンプルなスタイルでこれに側面のCP用ルーバーが300番代と形が違うために別パーツ
で貼り付けて使用するように指示されています。また妻板は種車から持ってくるスタイルのため切り離した後ろ側のボディより
側板を切り離した上で片側0.6ミリをずつを削って使用するようになっています。

画像は側板を切り離した状態の物でこれから各0.6ミリ分を削り落とします。
キットの中枢である真鍮のエッチングは0.3ミリの2枚を貼り合わせて行きますが、貼り合わせの前に曲げ板加工をします。
これはバイス等に木板を2枚挟んだ間に曲げる所にあらかじめ印(Pカッター等で少しだけ傷を付けて曲げやすくしてある)
を付けておいた線に沿って少しずつ妻板と同じ曲線になるように曲げていきます。
ここで曲げすぎたり、一部分のみに力が加わると不連続な曲線になって美しく仕上がりません。
この曲げ加工が終わった表側と裏側を半田付けで接着します。半田付け加工は必ずフラックスで表面を拭いておき
なるべく少量の半田で流し込みます。当社ではこの後の処理として必ずキサゲをかけてはみ出した半田を除去します。
こうしておけば窓ガラスを取り付ける時もでこぼこが無くなってきれいに接着する事が出来ます。

画像は曲げ加工の後に半田付けで接着した後(上の側板)とキサゲをかけていらない半田を除去した所
側板の加工と妻板の加工が終了すれば先頭部分との接合加工をします。
これは床下と屋根板の接合も含み、全長を慎重に決めていかないと後で余分な工作を強いられるので、
ここではかなりの時間を使ってきっちりと工作する事をおすすめ致します。
主に使う工具はヤスリですが、荒削り〜中研ぎ〜細目〜仕上げ用と数種類を使い分けて工作を進めています。
ヤスリは主としてスイスのバローベ製品が一番高価ですが使いやすく、仕事も速く確実です。



画像は屋根板の接合写真と先頭の接合部写真・床板まで全てを切り接ぎ終えた画像
運転席下のCP用ルーバー彫り込み加工
上の画像にも写っていますが運転席下のCP用ルーバーは板厚がボディと同じ0.3ミリのためそのまま貼り付けてしまうと
板の厚みが完全に出っ張って格好がとても悪く見えますのでこの部分は0.25ミリのプラボディ部分に彫り込みをしました。
加工の仕方はルーバーの大きさをまずノギスで計測して原寸+0.5ミリ程度の大きさの印をボディに付けて行き、
その印に沿ってカッターにて切り込みを付けていきます。彫り込みは彫刻刀が威力を発揮します。
気を付けないといけない点はボディ下端に従って裾の絞り込みが有りますのでその曲線となるべく合わせて彫り込む
と言う所でこれは少しずつ現物を合わせて行きながらの加工になっていきます。それと同時にルーバーパーツも曲面に対応
するように曲げ加工が必要になります。この曲面は単純な曲面ではないので(前方になるにつれて内側に曲がっていく)
これもボディとの接合をかなり気にしながらしっくり来るまで地道な加工がひつようです。


CPルーバーの彫り込み加工を終えた画像、及びパーツを取り付けた状態の画像
ボディ全体の仕上げ加工
ボディの接合が終了したら接合した部分の差異を無くすためにサーフェイサーを全体に吹き付けてからパテ盛り作業に入ります。
大きな部分では埋まっているのですが、細かい部分にはまだ接合傷が有るので必ず行っています。
最終的にはペーパーで2000番までの水研ぎをして光りにあてても大丈夫な段階まで行います。
これが塗装下地になっていきます。今回は塗色が暗いのでそのままですが、明るい色の場合はもう1回白のサーフェイサーで
もう一回同じ作業を繰り返します。

ボディにサーフェイサーを吹き付けた画像
ここまで来てやっと塗装作業に移ります。塗色は今回きりしまカラーなのでグンゼカラーのデイトナグリーンから調色しています。
塗装終了後に色差しをしてからスライドデカールを貼って行きますが、マークソフターはなるべく使用しない方が良いと思います。
どうしてもなじまないとか曲面に貼り付ける以外はデカール自身が伸びすぎたり、文字が消える等の事故率の方が高いと
判断しているためで、使う場合でもスライドデカールを浸ける水に最初から入れたりしてつかっています。


以上、今回はキットの素組プラス加工を含めた基本的な組み上げ方を解説致しました。