ドイツワインのラベル
ドイツワインのラベルも法律に拠って有る程度の形式が決められています。
ここに紹介するのは現在の一般的な読み方を指しています。(1971年以降のもの)

| @ 生産地域名の表示 全13地域のうちどこから産出されたものか この場合はモーゼル・ザール・ルーヴァー地域よりの物 |
ドイツワインとして認定されているのはまず100%ドイツ国内で生産されたもので有ることは当然の事ですが、
全13地域のものが100%で有れば名乗ることが出来ます。
これは肩書き付きワイン(上級ワイン)で有ればこれが無い場合はニセモノという事になります。
では並級ワインはどうかという事になりますが下から記すとこうなります。
◎ ECターフェルワイン(テーブルワイン)
これは最下級でドイツ産で無くても良いし品種も問われない。(但しユーロ内)
国内ではスーパーのベンダーで1L1〜2ユーロ程度の日常酒
◎ ドイッチャー ターフェルワイン(ドイツ産テーブルワイン)
これはドイツ産で品種は問われない。国内ではスーパーのベンダーで1L2ユーロ程度の日常酒で全生産量の10%程度
その多くがラインヘッセンもしくはプファルツの平面で広大な畑から獲れるが混醸はあまりしていない。
品種の表示は出来ない
◎ ラントヴァイン(1982年〜)
ターフェルワインよりも生産地域が限定されたいわゆる地酒の範疇に入ります。
これは瓶詰めされて売られている場合が多くフランスのヴァン・ド・ペイに相当します。
この範疇は15地域に分かれた地域内で100%の生産されたブドウを使用していること
ターフェルワインの1.5〜3倍程度の値段の物が多く日本でも売られていますしなかなか良い物も有ります。
(私もアイル農協のラントワインは良く飲んでいました。現在アイル農協は解散して辞めてしまいました)
| A 産出した村名と畑名 この場合はベルンカステル・クース市のドクトールという畑より産出したもの |
これが付く場合は必ず上級ワイン(肩書き付きワイン)となります。
肩書き付きワインの等級は次の通り
@Q・b・A(クヴァリテーツワイン・ベシュティムター・アンバウゲビーテ)通称クーベーアー
これ以上の物はワイン検査場に置いて試験を受けてある一定の評価点が付けられた場合に名乗ることが許されます。
但しワイン醸造の際に補糖が認められておりブドウの成熟が足りなくても有る程度安定したワインが作れるという特典は有ります。
基本的用件は最低限度の糖度が有り生産された地域の特徴を必ず有していること。他の地域のブドウは使わない等の制約は有ります。
このクラスは値段的にも手頃で品質は保証されているので安心出来る上にこの上のクラスのブドウを使った格下げワインが
含まれている事がかなりあり、その事実知っていればかなりのリーズナブル感が有ります。
但しこれ専用として作られている物も多いので選別がかなり重要なポイントとなります。
甘口(ズース)の場合は通常表記はされていませんが、中辛口(ハルプトロッケン)・辛口(トロッケン)は表記される場合が有ります。
また別の方法としてラベルの色調やデザインを替えている所も有ります
この中で特別に名称を付けることが出来るものが幾つか有ります。
◎ リープ゜ラウミルヒ
ラインガウ・ヘッセン・プファルツ・ナーエの各4地域から獲れるQ・b・Aでブドウ品種の表示は認められない
大元はヴォルムスの聖母教会の畑で産出された物だけが名乗れたのですが、18世紀に当然ニセモノ横行の嵐となり
紆余曲折の結果こうなったのです。(この名前を付けるだけで当時倍以上の値段が付けれたから)
聖母教会の畑は今でも栽培されており(町中の畑で13ヘクタール)大部分はマドンナで有名なP・J・ファルケンベルク社の所有
このワインだけはマドンナとは全く違う正当派のクラシカルなワインで値段も高め、ちなみにファルケンベルクはオランダ人
◎ ホッホゲベックス
モーゼル地域のみに認められており、この地域・畑の特徴・伝統をよりよく出している物に限り呼称を認めた物
この名称を使った物はQ・b・Aでも1クラス上と認識される場合が多いです。
AQ・m・p(クヴァリテーツワイン・ミット・プラディカート)
これはさらに6の等級に分類されます。このクラスになると補糖や添加物は一切認められていません。(除く硫酸化亜鉛)
● カビネット 一番下のクラスで軽く作られています。リースリングだと10月初旬が収穫期
● シュペトレーゼ いわゆる遅摘み収穫のワインでカビネットよりも糖度が高くアルコールも高いカビネットより10日以上遅い収穫
● アウスレーゼ 有る一定の糖度に達して検査に拠って許可が下りた物に付けられる等級でここから最上級品
● ベーレンアウスレーゼ アウスレーゼよりさらに糖度が有り貴腐ワインがこれに当たります。滅多に作りません。
収穫は遅く11月〜12月にかけてでこれをすると次年への剪定作業が遅れたりしますので次年の生産性は悪くなります。
● アイスワイン ベーレンと基本的に同じですが、1〜2月に−10℃位に気温が下がるとブドウの果汁が水分と分離して凍ります
この凍った果実を夜中に1粒ずつ手摘みしてすぐにプレスした自然濃縮されたもの、ベーレンよりもすっきりとした感じです。
● トロッケンベーレンアウスレーゼ ドイツワインの最高峰のクラスで良い年に限って挑戦します。但しブドウの木への負担が大きすぎるために次の年には果実をつけられなくなる場合が多いです。収穫は12月前後が多いです。
さらに99年から辛口に限って2つのクラスが新設されて少し難しくなりました。
● クラッシック 等級呼称上はQbAですがシュペトレーゼ級くらいまでのブドウを使用して作られた辛口です。
● セレクション 等級呼称上はQbAですがアウスレーゼ級以上のブドウを使用して作られた特別な辛口です。
解禁日が翌年の9月1日よりとなっており通常の解禁日より遅くなっています。
甘口〜辛口の表示
基本的にドイツワインの場合は甘口は基本形態であることから表示がされていませんが、
中辛口(ハルプトロッケン)・辛口(トロッケン)は表示義務は有りませんが、ラベル記載を認めています。
地域に拠って多少の変動は有りますが、1リットル中の残糖値で決められています。
辛口 残糖値 0〜8グラム
中辛口 残糖値 8〜25グラム
| B ブドウ品種と認定等級 リースリング種から獲れたアイスワイン |
ブドウ品種 リースリング モーゼル地域では80%がリースリングでドイツの代表品種です。
ドイツ原産品種で古い物は数百年前の原木が現存しています。
(元野生種を改良して現在に至り1種類では無く数百の原種株が有ります)
リースリング以外としては(代表例のみ)
● ジルヴァーナ ラインヘッセン・フランケンでは良く栽培されています。
● ミュラートゥルガウ リースリング×リースリングの同種交配で19世紀に出来ました。
● ルーレンダー フランスではピノ・グリと同じ品種 ヘシッシェやヴェルテンベルグでは良い物が出来る
● ゲヴェルツトラミナー 酸が少ないが香りが非常に良い プファルツで良い物が出来る
● リースラーナー これもやや早熟で糖度が上げやすく香りも高い プアァルツで良い物が出来る
● グートエーデル バーデン地域では代表品種、酸・香り共にが穏やかで飲みやすい スイスではシャスラ
● エルブリンク 古くローマ時代はこちらが主品種で豊産性があるが、酸が鋭くやせた感じがする ザールで栽培
● シュペートブルクンダー 赤の品種でフランスではピノノワール種 バーデンのものは遺伝子的にも同一
● ポルトキーザー 赤の品種 少し紫がかった色調が特徴で少し薄く感じる事も有ります。
| C 認定等級のうちで肩書き付きワインの検査認証番号 |
A・P・Nr アー・ペー・ヌマーと呼びます。
2・576・242・28・84 と記されていますが最初の2・576はベルンカステルに有る検査所の固有番号
242 はDrターニッシュ家の固有番号
28 は何番目に検査を受けたかという識別で1樽ごとに行う 最後の 84 は検査を受けた年
2・576はベルンカステルに有る検査所の固有番号でブラウネベルグ〜エルデン位までがほぼこの検査場
Drローセン・JJプリュム・フリッツハークもこの検査場で受けています。
最初のナンバーが3になるとトリアー市所管の検査場です。(ザール・ルーヴァー)
この検査番号の付いたものは1月15日以降が販売解禁日となります。
| D 生産者名と生産者元詰めワインであるとの表示 |
生産者元詰めワインは元々このエルツオイアーアプュフュルンクだったのですが、
82年以降にグーツアプュフュルンク (生産者直詰めワイン)が新設されてこの表示の方が多くなりました。
個人生産者はこのどちらでも選択できますが混同は許されていません。
買い酒の場合はアブュフェラーという表記になるのでここも選別出来るポイントになります。
但しアブュフェラーが悪いということでは有りません。
例としてルイス・ガントゥーム社(ラインヘッセンの大きな酒商社)の390円で買ったワインの中身は1500円級とほぼ同じでした。
| E VDPマーク ドイツワイン優良生産者組合に所属している醸造所が付けることが出来るマーク |
ここに加わる事は並大抵では有りません。地域の品評会を数十回以上金賞を取りその上の国内品評会でも金賞を連続で取って
有る程度の安定した評価を得られれば入会を許されます。このマークはいわゆる超一流である証となっています。
ドイツ農産物品評会(DLG)はワインだけでなくお菓子やハムといった食品全般に渡っていて当然ビールも有ります。
(サントリーのプレミアムモルツはこの金賞を取って大喜びしています。これはドイツ国内では中流の始まりを意味しています)
基本的に地域の銀賞以上の物はかなり優れた物と言えます。
71年以前も基本的には表示はそれほど変わっている訳では有りませんが、畑名が少し違っていたり等級もかなり不明確だったため
統一されて現在の呼称になっています。
昔はカビネット−アウスレーゼとか アウスレーゼ−アイスワイン という呼称も有ったわけです。
またリースリング−ジルヴァーナ等の混醸も普通に有りました。(まだ開封していないものに現物が有ります67年の物)
この時代のカビネットは等級では無くキャビネットにしまっている特別なワインという意味になります。
現在ではモーゼル地域のゴルトカプセル(金封)・ラインガウ地域のブルーカプセル(青封)に相当します。
購入する値段もそれに比例していてエゴンミュラーのシャルツホーフベルガーはノーマル封が現在2〜3万程度ですが
ゴルトカプセルはこれだけの為の特別な栽培・剪定を行い価格は平均8万円前後となっています。
樽ナンバーに拠って価格が違いフィロキセラ禍以前の木を使った物はさらにいい値段が付いています。
ドイツワインは上記の様にクラス分けされていますが、クラス=値段にはなっていません。
例として ラインヘッセン産のアウスレーゼ(品種の明記は無い)畑でグロスラーゲ(集合畑)の物は
日本では2000円前後で販売されている事が多いのですが、
良い醸造所で例えばエゴンミュラー家のQbAのシャルツホーフ(グロスラーゲ名で販売)は4000円前後で同じ上級酒でも格差が有ります。
概して評価の高い醸造所は値段が高く、そうでない所は有る一定以上の値段が付いていない事が分かります。
ワインの世界ではどこでもそうですが、良いワイン=高価な物が有る程度成立しており、
異常に高い物は需要と供給の関係で値段が釣り上がっていると考えた方が妥当と思います。
この例はフランス、ボルドーのCHペトリュス・ブルゴーニュのDRC・ルロワの黄封が顕著な例と思います。
ドイツではザールのエゴン・ミューラー、ラインガウのクロスターエーバーバッハ、が顕著です。